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四国水族館日記 四国水族館日記

飼育員と
生きものたちの
成長を記録。
ここは
生きもののための
水族館

2019.03.09
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四国圏域水族館ネットワーク化実現への第一歩を目指すシンポジウムを開催【後編】

水族館の"社会的役割"とはいったい何だろう?

シンポジウム第二部では、「四国の自然の魅力と四国活性化における水族館の役割と展望」をテーマに、ナビゲーターの岩瀬氏(四国海と生き物研究室)の進行のもとパネルディスカッションが行われました。

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岩瀬氏は、「水族館はレクリエーションの場として大きな役割を果たしていますが、忘れてならないのは水族館の発信力や集客力です。また、水族館は博物館の一種であることから、生き物の生態を伝えたり、絶滅危惧種を保護したり、過疎によって失われる水辺の環境を保全したりなど、教育や研究・環境の側面においても地域において大きな役割を果たしています」と述べました。
さらに各水族館の館長は、水族館が持つ地域貢献の多様な役割について語りました。一つは、水族館が地域の食に対して担う役割です。
「四国にはたくさんのおいしい魚があります。不謹慎かもしれないが、四国に生きる魚たちが水槽の中でイキイキと泳いでいる姿を見て、おいしそう!食べてみたい!と感じていただき、市内やお店に足を運んでもらうことも一つの地域貢献だと思っています。また、最近の子どもたちは食卓やお店に出てくる刺身を見ても、生きた姿を想像できない子も少なくありません。その魚たちがどんな姿をし、どんな生態なのかを知ることは、食育という側面でも大切なことだと思います。」

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また、集客や雇用創出という面でも水族館の持つ役割は大きい。
「多くのお客様が地方に来てくれること自体が地域貢献ではないでしょうか。就職や進学で地方から都市部に人が流出してしまうことが問題になっていますが、地元に水族館があるということは非常に大きなことで、"水族館に就職したい"という声も多いんです」。
「島のちいさな水族館」では、地元の小中学校などを対象に海洋教育を行っている。海洋教育を体験した当時の小学生が、現在はスタッフとして活躍しているという事例も紹介された。また、「日和佐うみがめ博物館」ではウミガメの保護活動に取り組んでおり、そうした動物の保護活動が地域の人たちにとっての誇りになっているそうです。

四国水族館が目指す"地方創生"というビジョン

四国水族館 館長・松沢は、四国水族館が果たす地域への役割についてこう語りました。
「四国水族館は名前に"四国"を名乗っています。全国さまざまな水族館がありますが、都市名や愛称ではなく、"四国"のように広域な地名を名乗っている水族館は他にはありません。私たちは地元宇多津町や香川県だけでなく、四国全体の活性化を責務としていきたい」。

シンポジウム終了後は、四国の水族館同士が連携する必要性について各水族館館長も口をそろえました。
「四国の水族館はお客様を取り合うことはありません。むしろ連携することにより、お互いの集客にもつなげていきたい。各施設には深い専門知識やノウハウを持った人たちがいますので、困ったときにいつでも相談できる環境があるということはメリットしかありません。また、万が一の震災・災害に備え、お互いが助けあえる関係性・環境を築くことも重要です」。

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食・歴史・文化・自然など、四国には世界に誇るべき多くの魅力が存在します。
その一方で、人口の流出、地方都市の魅力創出、交通アクセスの問題、南海大地震などの大災害へのリスク対策など課題も多い。これらの課題に立ち向かい、活性化を目指すためには、「自分たちの施設さえ良ければいい」といった発想ではなく、相互連携によって力を最大化することが大切です。

今回のシンポジウムは、四国水族館が目指す"地方創生・四国創生"に向けた第一歩と言ってもいいのではないでしょうか。

今後も四国水族館では、四国内の水族館が集結するイベントを積極的に行っていきたいと思います。

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